確定申告書を期限日ギリギリに郵送で提出する場合の注意点
確定申告は毎年2月半ばから3月半ばまでと普通の仕事でも年度末でとても忙しい時期。税務署や確定申告会場も混雑がひどくて2時間以上待たされることもあります。
そこで利用者が増えているのが、確定申告書を提出する方法として、税務署の確定申告相談会場に並ぶ代わりに
- e-taxでの電子申告
- 印刷して必要書類と一緒に郵便局からの郵送で提出
で提出する人が増えています。
このほか税務署の「確定申告時間外収受箱」に投入する方法もあります。翌朝、職員がこの時間外収受箱に入っていた確定申告書は「前日(前営業日)に提出されたもの」と見なしてくれます。
このページでは「印刷して必要書類と一緒に郵便局からの郵送」の際に注意しておきたい重要情報をまとめています。e-taxでの電子申告について知りたい方はこちら
先にまとめ
確定申告書を期限日ギリギリに郵送で提出するなら、
- 必要書類(添付書類)も忘れずに
- A4を折り曲げないですむ「角形2号」の封筒で
- 管轄の税務署宛に
- 郵便局のゆうゆう窓口に持ち込んで
- 3月15日23:59までに
- 定形外郵便で消印を押してもらう
- 簡易書留ならより安心
- 青色申告は特別控除65万円がかかってるから必死でがんばって!
ということです。
以下、個別の詳細情報が確認できるようになっています。
送付先は管轄の税務署
封筒などのあて先になる確定申告書の送付先は、あなたの住所や事業所の所在地を管轄する税務署になります。
管轄の税務署・郵送のあて先などは国税庁ホームページで検索できます。
https://www.nta.go.jp/about/organization/access/map.htm
まれに送付先指定が税務署ではなく事務センターになっていることがありますので、なるべく個別の税務署のページまでたどってご確認ください
確定申告期限ギリギリの時は宅配便はNG!郵便局持込で簡易書留がベスト
確定申告の際には確定申告書以外に添付が必要な書類もありますので、「紙一枚送ればいい」というわけにいきませんよね。そこそこの量になってしまうこともありますが、「郵便」以外のゆうパック・宅配便は避けたほうが無難です。
理由は二つあります。
理由その1:確定申告書は「信書」なので、そもそも宅配便やゆうパックで送れない
これは国税庁ではなく、郵便を管轄する総務省側のお話で、、国税庁のホームページにもこのような記載があります。
税務手続に関する書類は「信書」に該当するため、作成済みの書類を送付する場合には、「郵便物」(第一種郵便物)又は「信書便物」として送付してください。
具体的な信書の内容については、総務省ホームページ( 総務省ホームページ(http://www.soumu.go.jp/yusei/shinsho_guide.html))をご覧ください。
(注) 郵政公社の民営化に伴う郵便法の改正により、平成19年10月1日以降、小包郵便物は郵便物に該当しません。
引用元https://www.nta.go.jp/taxes/tetsuzuki/shinsei/teishutsujiki/presentation.htm
「郵便物」(第一種郵便物)とは?
郵便局のホームページにはこの分類を分かりやすく説明したページが無いのですが、
- 第二種郵便物(はがき)
- 第三種郵便物(認可を受けた定期刊行物)
- 第四種郵便物(通信教育用郵便物、点字郵便物など)
以外の一般的な封をされた封筒などが第一種郵便物と分類されています。
確定申告書はA4サイズで、折り曲げて封筒に入れてもいいのですが、添付書類を含めるとそこそこの量になることもあり、折り曲げないですむ「角形2号」の封筒を利用されることが多いようです。この場合は定形外郵便で重さによって料金が決まります。
定形外郵便の料金表はこちら
折り曲げて郵送する場合の封筒サイズと定型郵便・定形外の区別は
- A4 2つ折:角形6号 (定形外)
- A4 3つ折:長形3号 (定型郵便)
- A4 4つ折:長形40号 (定型郵便)
となりますが、定型郵便サイズの封筒であっても、25g以上は92円、50g以上は定形外扱いとなりますので注意してください。
添付が大量にあってダンボールで送るようになっても、「ゆうパック」ではなく4kg以内の定形外郵便の「規格外」の枠内で送付するのがおすすめです。
- レターパックライト(交付記録郵便としない特定封筒郵便物)
- レターパックプラス(交付記録郵便とする特定封筒郵便物)
は「郵便物」となっているので大丈夫です。
送付した証拠を残すには書留か特定記録を追加する
日本では郵便物がなくなることはあまりありませんが、発送した後で
いつまでたっても還付金のお知らせが届かない!
といったことがあったときに、
まさか、郵便物が届いてないってことは無いよな。。あて先間違えたとか・・
といったことがあったら不安ですよね?
逆に不申告加算税などが急に請求されてもめたときに、あなたがちゃんと発送した証拠を残しておきたいものです。
そんなことにならないように郵便局の配達オプションとして
- 一般書留(引き受けから配達までの送達過程を記録)
- 簡易書留(引き受けと配達のみを記録)
- 特定記録(郵便物の引受けを記録 160円均一)
があります。
一般的には簡易書留で十分といわれています。
信書便物とは?
信書便物というのは、郵便局以外ではがきや封筒などの「信書」を扱えるよう総務大臣から認可を受けた事業のことですが、「一般信書便事業者」というのは今現在日本国内にありません。
特定信書便事業にはバイク便などが許認可を得れば参入でき、平成29年度末時点で510者あるようです。大手では佐川急便の「飛脚特定信書便」などが例としてあります。
理由その2:郵便物や信書便物でないと、書類の提出日が税務署到着日になってしまい確定申告期限に間に合わないことも!
これも上記の国税庁ホームページに記載があるのですが、
税務手続に関する書類の提出日は、原則として税務官庁に書類が到達した日となります(到達主義)。
ただし、納税申告書(添付書類及び関連して提出する書類を含む。)や提出時期に具体的な制約がある書類(後続の手続に影響を及ぼすおそれのある書類を除く。)については、その書類が郵便や 信書便により提出された場合、その郵便物や信書便物の通信日付印により表示された日が提出日とみなされます(発信主義)。
引用元https://www.nta.go.jp/taxes/tetsuzuki/shinsei/teishutsujiki/presentation.htm
到達主義と発信主義
難しい言葉が出てきましたが、通常、ビジネスでもネットショッピングでもなんでも、「発送しましたからよしなに」といっただけで、実際にOKになることはありませんよね?
ネットショッピングなら、商品が手元に届いたときがゴール地点です。たとえば、お店が発送した後、途中の配送業者が商品を紛失した場合、たいていの場合はお客さんはお店に苦情を入れると、再出荷してもらえるでしょう。
確定申告ではそもそも、「発送しましたよ」という連絡すら税務署に通知する方法がありませんし、届いた封筒が発送された日がいつか、というのもたいていは伝票などに記載がありますが、たとえば宅急便のように信書便として認可もされていない民間の配送業者が配達していたりすると、その伝票もどこまで信用していいのか分かりませんよね?
というわけで、
- 到達主義 → 税務署に届いた日=提出日(原則)
- 発信主義 → 申告する人が郵便/信書便で発送した消印の日=提出日と見なす
というのが現在の国税庁のスタンスだということです。
3月15日税務署の閉庁後、夕方5時から深夜12時までなら郵便局に持ち込もう
一般に郵便物をポストに投函した場合、消印が押されるのは、そのポストの郵便物が収集され、収集郵便局に届いた時です。夕方5時以降に収集されるポストは少ないでしょうから、近くの夜間受付窓口(ゆうゆう窓口)がある郵便局に持ち込むのが確実です。
昔のように懐かしい手で日付を設定するスタンプ印を使っている郵便局も少ない、かもうなくなっていると思うので、3月15日の確定申告期限日の場合は、23時59分までに発送手続きを済ませて、確実に消印を押してもらいましょう。(郵便局の方も事情は分かっていると思うのでベストは尽くしてくれるでしょう)
確定申告書提出日の重要性
なぜ、確定申告書の提出日が重要なのでしょうか?
それは一般に確定申告期限といわれている日が法定申告期限になっているからです。
確定申告書の提出が期限に間に合わない時のデメリットは大きい
確定申告する人には
- 確定申告する必要がある人(納税すべき所得がある人 副業などで青色申告する場合)
- 確定申告する必要のない人(サラリーマンがふるさと納税や医療費控除で還付申告・白色申告する場合)
の2種類がいますよね。
このうち、「確定申告する必要のない人」の還付申告は5年までさかのぼれますし、遅くなったこと自体のペナルティはありません。
期限後申告の場合、無申告加算税や延滞税を支払う必要があるかも
しかし、「確定申告する必要がある人」が確定申告期限までに申告が間に合わなかった場合(期限後申告)、本来の税額の上にさらに無申告加算税が課される可能性があります。この無申告加算税は本来の税額の15-20%です。
法定申告期限から1月以内に自主的に期限後申告をした場合で、「期限内申告をする意思があったと認められる一定の場合」は無申告加算税は課されません。
税務署の調査を受ける前に自主的に期限後申告をした場合は無申告加算税が5%で済みます。
また、確定申告の期限日は納税の法定納期限でもあり、納税も遅れている場合は、納付の日までの延滞税(日割り計算)も払う必要があります。
青色申告特別控除(最高65万円)は「法定申告期限内に提出」が条件
また、副業や個人事業主で青色申告をされている方にとって、期限内に提出することはマストです!
青色申告にはいくつかのメリットがありますが、一番大きいのが最高65万円の青色申告特別控除ですよね。
青色申告特別控除65万円の3つの条件
青色申告をして、この特別控除などの税金面での特典をもらうためには、3つの条件があります。
- 事前に青色申告の申請手続をする(青色申告承認申請書を税務署に提出する)
- 帳簿の作成と保存(年末に貸借対照表と損益計算書を作成できるような正規の簿記(=複式帳簿)を記帳し、7年間保存するのが原則)
- 貸借対照表及び損益計算書を確定申告書に添付して、法定申告期限内に確定申告書を提出する
ということ。この3つ目「法定申告期限内に確定申告書を提出」が忘れられがちですが重要なのです!!
国税庁のホームページでは
青色申告者に対しては種々の特典がありますが、その一つに所得金額から最高65万円又は10万円を控除するという青色申告特別控除があります。
1 65万円の青色申告特別控除
この65万円の控除を受けるための要件は、次のようになっています。
(1) 不動産所得又は事業所得を生ずべき事業を営んでいること。
(2) これらの所得に係る取引を正規の簿記の原則(一般的には複式簿記)により記帳していること。(3) (2)の記帳に基づいて作成した貸借対照表及び損益計算書を確定申告書に添付し、この控除の適用を受ける金額を記載して、法定申告期限内に提出すること。
(注)
1 現金主義によることを選択している人は、65万円の青色申告特別控除を受けることはできません。
2 不動産所得の金額又は事業所得の金額の合計額が65万円より少ない場合には、その合計額が限度になります。ただし、この合計額とは損益通算前の黒字の所得金額の合計額をいいますので、いずれかの所得に損失が生じている場合には、その損失をないものとして合計額を計算します。引用元https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/2072.htm
となっていますが、このサイトを見て青色申告しようとしてる人は、すでに副業をやっていたり、個人事業主の方が多いようですので、(1)はすでにクリアしている、とします。
郵送での提出先は税務署事務処理センターになっていることがある
最近、各地の国税局で増えている事務処理センター。郵送で確定申告書を提出する場合には、税務署ではなく、「税務署事務処理センター」あてに郵送してください、という税務署が増えています。
例:浅草税務署
郵送により提出する場合は以下の送付先へ郵送してください。
≪送付先≫〒110-8655 台東区池之端1-2-22上野合同庁舎「税務署事務処理センター」宛
引用元:https://www.nta.go.jp/about/organization/tokyo/location/tokyo/asakusa/index.htm